ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』書評書きました

2010年09月05日付けの読売新聞にミランダ・ジュライの『いちばんここに似合う人』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100906-OYT8T00620.htm
以前英語版を読んで「新潮」の連載で書いたときにはこんなに面白い人いたのか、と思いましたが、日本語版で読み直してみて、「英語で読んだときより面白い!」と衝撃を受けました。こういうことはめったにあるものではありません。
岸本佐知子さんが訳しているわけですが、岸本さんは訳者として、前代未聞の高度なところにまで到達してしまったと思います。もちろん柴田元幸先生もすごいですが、全く違った方向で岸本さんも日本トップになったんだな、とこの翻訳を見て思いました。元の著作と著者と訳者が協力し合った奇跡、と言ったところでしょうか。
どろどろに床が溶けていく幻想のなか水泳をトレーニングしたりと、けっこう設定はとっぴなこともあるのですが、扱われている内容は、寂しい、自信がない、愛されたい、でも他人が怖い、どうすればいいの! でも仕事もつらい、といった、現代人ならみんな(?)感じていると僕が勝手に思っているものになっています。とっぴなようでいて、実はものすごく親しみやすい内容を、たやすく共感できる繊細な文章で書いている、という感じでしょうか。
岸本さんの訳は原文の繊細度を、日本語の特性を生かしてさらに一桁上げているような気がします。こういう、作家・詩人・エッセイストがすべて重なり合った形での翻訳家のあり方というのはまさに理想的なのではないでしょうか。本当に勉強になります。
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by kojitoko | 2010-09-03 16:02
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