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読売新聞夕刊で『21世紀』が取り上げられました

6月26日読売新聞夕刊の文芸月評で『21世紀の世界文学30冊を読む』が取り上げられました。
「各国の『精神的マイノリティー』が言語や国家を越え、ネットや書籍を通じ同時につながっていると説くグローバル時代の文学観を提唱する。」と書いていただきました。
嬉しいです。どうもありがとうございました。
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by kojitoko | 2012-06-28 08:46

『場所と産霊』書評書きました

2010年11月21日付け読売新聞に安藤礼二『場所と産霊』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20101122-OYT8T00403.htm
国ごとに閉じた文学や文化が存在する、という見方を、安藤礼二は翻訳や移動という概念を使い転倒していきます。フランス近代文学はアメリカ文学をどう翻訳したのか、あるいは鈴木大拙や南方熊楠は日本文化論を打ち立てるために世界をどう移動したのかを考察する彼の論は刺激的です。
こうした考え方は、外国研究と日本研究というあまりにも古典的な二分法をうち崩すと同時に、複数の国や文化にまたがった研究を促す力を持つといえるでしょう。
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by kojitoko | 2010-11-27 16:30

『クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生』書評書きました

2010年11月07日付け読売新聞に『クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20101108-OYT8T00453.htm
大量の衣服を積み重ねたり、引き延ばされた顔写真が暗い部屋でボウッと照らされていたりと、なんだか不吉な感じのインスタレーションが得意なボルタンスキーですが、本書を見るととにかく話し好きで興味深い人物だと分かります。
フランス社会の中でユダヤ系ロシア移民として過ごした少年時代の思い出、35歳まで100体以上の人形で兵隊ごっこをしていたという過去、突然のスターダムと現代美術の代表者となっていく経過など、どのページをとってもすさまじく面白いです。このインタビュー集を読んでようやく人気の秘密がわかりました。また彼の作品を見たいです。瀬戸内海行こうかな。
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by kojitoko | 2010-11-06 20:13

ナボコフ『賜物』書評書きました

2010年10月10日付け読売新聞にウラジーミル・ナボコフ『賜物』書評書きました。
今回ロシア語から初めて日本語に直接訳された『賜物』ですが、亡命者たちの息苦しい、つらい人生が迫ってきます。ロシア語で書いても数少ない人数しか読んでくれない。本国では出版することなどとてもできない。しかも新たな国にもなじめない。自分の言語が母国である作家にとって、こんなにつらいことはないのではないでしょうか。もちろんいつもどおりナボコフは膨大なテクスト上の仕掛けを散りばめていますが、その向こうにはむき出しの感情があるような気がします。知的なだけでなく、ごくベタなレベルでナボコフの作品を読み直してみると彼のまた違った魅力が楽しめるのではと思いました。
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by kojitoko | 2010-10-09 09:14

アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』書評書きました

2010年09月19日付けの読売新聞にアディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100921-OYT8T00450.htm
日本ではアディーチェは『アメリカにいる、きみ』(傑作!)で知られていますが、この長編はナイジェリアで起こったビアフラ戦争という分離独立戦争について書いています。とは言っても政治・軍事ばかりの小説ではありません。そこはアディーチェ、恋愛を軸にして、登場人物たちの心のひだに迫っていきます。
アフリカ小説と言われると一気に遠い感じがする人も多いでしょうが、普通に楽しめる作品になっていると思います。
9月末にはペンの国際大会でアディーチェは日本に来るので、この機会に読んでみてもいいかもしれませんね。
http://www.japanpen.or.jp/convention2010/
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by kojitoko | 2010-09-19 07:28

ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』書評書きました

2010年09月05日付けの読売新聞にミランダ・ジュライの『いちばんここに似合う人』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100906-OYT8T00620.htm
以前英語版を読んで「新潮」の連載で書いたときにはこんなに面白い人いたのか、と思いましたが、日本語版で読み直してみて、「英語で読んだときより面白い!」と衝撃を受けました。こういうことはめったにあるものではありません。
岸本佐知子さんが訳しているわけですが、岸本さんは訳者として、前代未聞の高度なところにまで到達してしまったと思います。もちろん柴田元幸先生もすごいですが、全く違った方向で岸本さんも日本トップになったんだな、とこの翻訳を見て思いました。元の著作と著者と訳者が協力し合った奇跡、と言ったところでしょうか。
どろどろに床が溶けていく幻想のなか水泳をトレーニングしたりと、けっこう設定はとっぴなこともあるのですが、扱われている内容は、寂しい、自信がない、愛されたい、でも他人が怖い、どうすればいいの! でも仕事もつらい、といった、現代人ならみんな(?)感じていると僕が勝手に思っているものになっています。とっぴなようでいて、実はものすごく親しみやすい内容を、たやすく共感できる繊細な文章で書いている、という感じでしょうか。
岸本さんの訳は原文の繊細度を、日本語の特性を生かしてさらに一桁上げているような気がします。こういう、作家・詩人・エッセイストがすべて重なり合った形での翻訳家のあり方というのはまさに理想的なのではないでしょうか。本当に勉強になります。
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by kojitoko | 2010-09-03 16:02

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』書評書きました

2010年8月22日付けの読売新聞書評欄にヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』の書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100823bk08.htm
日本ではロシアの村上春樹なんて言われたりもしているペレーヴィンですが、正直読んでみると全然似ていません。こういうふうに辛辣で奇想で文章が上手く極端に現代的、というのは今まで読んだことがありませんでした。けっこうびっくりすると思います。ロシア文学だということでちょっと敷居が高いと思っていた人、挑戦してみるとかなり幸福になれるんじゃないでしょうか。
BOMBのインタビューでペレーヴィンはジョージ・ソーンダーズ『パストラリア』やパーシグ『禅とオートバイ修理技術』への愛情を語っていたりして、アメリカ文学もかなり詳しいみたいです。こういう、世界同時的な文学のあり方というのにもっと注目していかなくては。
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by kojitoko | 2010-08-20 08:41

ハルトゥーニアン『歴史と記憶の抗争』書評書きました

2010年8月15日の読売新聞書評欄にハリー・ハルトゥーニアン『歴史と記憶の抗争』の書評を書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100816bk08.htm
ルース・ベネディクト『菊と刀』に真っ向から反論したり、戦前も戦後もあまり注目される事のなかった戸坂潤の仕事の意義について語っていたりと、学ぶことの多い本でした。こういうふうに、日本を日本語で日本人が語る、という枠組みからそれた考察はとても興味深いです。解放感もあります。外国研究の意義について、アメリカに住む大先輩から教えてもらったような気持ちです。
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by kojitoko | 2010-08-14 08:21

カミュ『異邦人』書評書きました

8月08日掲載の読売新聞書評欄にカミュ『異邦人』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20100809bk02.htm
「夏のイチオシ文庫」企画ということで200文字あまりの短い文章でしたが、とても楽しく書けました。
知っているつもりの『異邦人』ですが、今読み返すと意外な細部がたくさん書き込まれていることがわかります。植民地でフランス人からもアルジェリア人からも疎外された主人公が死に追い込まれる、というのは昔読んだときには全く気がつきませんでした。
僕が好きだったのは飼い犬への愛を語り続けるサラマノ老人です。『異邦人』とは、たいしたことがない、でも自分にとっては交換のきかない存在を見いだすことについて書いてあるのではないでしょうか。久しぶりにまたフランス語勉強したくなりました。
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by kojitoko | 2010-08-04 07:09

『夕暮れの緑の光 野呂邦暢随筆選』書評書きました

8月01日掲載の読売新聞書評欄に岡崎武志編『夕暮れの緑の光 野呂邦暢随筆選』書評書きました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100802bk08.htm
芥川賞を取りながら42歳で急逝した野呂邦暢ですが、30年経ったいまでも彼の文章には瑞々しい新しさがあります。この本を読むと、長崎県諌早の干潟と太陽の光に彩られた世界に行ってみたくなります。文章から海のにおいが立ち上ってくるというのは並大抵なことではありません。
それにしても、なぜこんなに優れた書き手の著作が容易に手に入らなくなっているのでしょうか。本当にいいものと読者を繋ぐパイプが年々細くなっているような気がしてなりません。この書評で現在の状況に少しでも抗することができていたら嬉しいです。
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by kojitoko | 2010-07-30 07:48